/* 注意 * ハイドリッヒ店長を妄想した、その辺の三流SSです。 * 公式の物でもなんでもないので、とりあえずハイドリッヒ店長について妄想してください。日記風です。 * / SS ハイドリッヒの生活 ――19xx年某月、某戦争地域にて。(ハイドリッヒ20代) この日記を付けるのはもう何週間目になるか。今日も今日とて、どうにか私は生き延びている。 手に持つ機関銃は、既に弾薬が尽きて使い物にならない。ナイフは若干錆付いている。 共に戦場を駆け抜けた戦友は今日、敵に撃たれて逝った。私だけが今日を生き延びる事に成功している。 軍のお偉方は『状況は我々に有利だ』とか言っているらしいが、現地はそうとも言い切れない。 なにせ、最前線で戦う私みたいな連中は武器もロクに有していないからな。敵を一人一人おびき出し、素手で倒すのがやっとだ。 今日は三人の敵軍兵士を仕留めた。やれやれ、流石にムーンサルト直後のナイフ投擲はキツいものがある。ちょっとだけ足を痛めた。 ……無事にこの戦場から生きて帰れたら、私は軍を抜けようと思う。昔からの夢……喫茶店を開くという夢を実現させたい。 平和な国……そう、日本あたりにでも行けば開けるだろうか。日々を平和に生き、適度に手抜きをして、常連客とダベって。そんな生活が理想だ。 ――私は元々、サボったり手抜きをして楽するのが大好きな人間なのだ。 ――20xx年某月(現在)、喫茶店Tender Cafeにて。(ハイドリッヒ40〜50代) 今日も今日とて、私は常連の一人とダベっている。 あのカオスな戦場を行きぬいた私は今、夢を実現させた。そう……喫茶店を開くという夢をな。 人はまばらだが、それなりに雰囲気のいい喫茶店。金はそれなりにかかってしまったが、夢を実現させる為にはどうってことは無かった。 雇ったバイトは皆優秀で、私の居場所は皆無に等しいから困る。だが、そのお陰で私は堂々とサボる事が出来る。 バイト「こらーーーーてんちょーーーーー!いい加減、一人オセロなんてやってないで仕事してくださーーーーーい!」 こんな感じでバイトの子にドヤされるのが毎日だから困る。それを常連客に毎日突っ込まれるのもカオスだ。だが、このスタイルを変えるつもりはない。 常連客「わはは。ハイドリッヒさんよ、今日もサボりかい?まったくアンタはのほほんとしてていいねぇー。」 まぁ、あの戦場のカオスさに比べればこんなものは大したことが無い。私は今、人生でもっとも平和かつ楽しい時間を謳歌しているといえよう。 バイト「てんちょーーーーー!いい加減にしないと皿を投げますよーーーーーー!」 言う前から皿を投げているから困る。軍隊から抜けたというのに、その時よりも面倒な作業を強いられるから困る。 常連客「はっはっは、これは素晴らしい!旦那は若々しくて羨ましいなぁ。私にはバク転しながらキャッチするなんて荒業は出来そうにねぇや。」 こういう技能を身につけたのは喫茶店を開いてからの事だ。私が堂々とサボっていると皿を投げてくるので、それを私がバク転でキャッチする。 こんな下らん事をしていると、その評判を聞きつけて客がやってくる。客がやってくるから更にやる事がエスカレートするという悪循環だ。 包丁を飛ばしてきて、それを近くにあったお盆で受け止めたこともあった。久々に軍隊に居た頃を思い出すことが出来て燃えた。 その後はゲーセンでガンシューティングをプレイし、ノーコンティニューで完全制覇してしまったから困る。確か、階級は二等兵から中佐くらいまで上がったのだったか。 バイト「てんちょーーーーーーーー!早く厨房に戻ってくださーーーーーーーーいっ!」 常連客「旦那、早く戻らないとバイトの子がまた包丁を投げてくるぜ?つーか私にもそろそろ飯を出してくれよ」 そんな事を言いながらも、常連の連中は皆ニヤニヤしてこっちを見てくるから困る。何気に期待されているらしい。久々に燃えた。 とはいえ、流石に店を破壊されたりするのは困る。仕方が無い……たまには仕事をするとしようか。 ハイドリッヒ「で、何か注文するものは決まったかね?」 常連客「おうよ。勿論、いつもので頼むぜ!」 ハイドリッヒ「承知した。少し待っていろ」 常連の欲しがる"いつもの"というのは決まったメニューではない。元々は『コイツはこのメニュー』というように決まってはいた。 しかしそれではつまらないので、私は"いつもの"と頼まれたら気まぐれで適当なメニューを出す事にした。そうしたら常連の間でウケたらしい。 今では『ご注文は?』とバイトが聞くと『ハイドリッヒ店長に、いつものと伝えてくれ』と返してくるらしいから困る。これも因果というものか。 私は口元をニヤリとさせながら、今にも皿を投げんとしているバイト達が居る厨房へと向かった。まったく、これはこれで楽しいから困る。