俺は、かもさんから手渡された洋菓子作りの本を、 頭に叩き込むように食い入って読んでいた。[pcm] かもさんいわく『……お菓子作りは……経験です』だそうで、[r] 知識と経験が一番、センスが二番目らしい。[pcm] マニュアルどおりにやっていれば下手なことにはならない、[r] どこかの料理べたにも聞かせてあげたいお言葉だ。[pcm] とと、何を作ってあげれば妹が一番喜ぶのだろうか。[r] …………あ、あいつ確か和菓子派だったな。[pcm] さて、どうすっか。[pcm] …………[lr] ……[pcm] 店長に事情を話すと、快諾してくれた。[r] 「公太郎君がケーキを作れれば、私も気軽にサボれるだろう?」だそうだ。[pcm] そして今、誰がお客をさばいていると思う?[lr] それが…………長岡なんだ。[pcm] 意外と接客も上手で、[r] あいつの要領のよさが伺える。[pcm] そして、俺はお菓子作りに悪戦苦闘していた。[pcm] かもさんに相談した結果、やはりケーキを作ることになったのだ。[pcm] [かも]「生クリームは泡立てすぎると……ボソボソになるので、[r] ……適度に……」[pcm] その適度がどれくらいかわからんという突っ込みは置いておこう。[pcm] 「ケーキといったらショートケーキだ」と、[r] 長岡が強く推したため、俺はショートケーキに挑戦中だ。[pcm] [かも]「ショートケーキが……おいしいかどうかで、[r] そのケーキ屋さんの……レベルが……わかります」[pcm] [公太郎]「そうなの?」[pcm] [かも]「はい。……一番オードソックスなケーキが、[lr] おいしかったら……たいてい他のも……おいしいの……ですよ」[pcm] [公太郎]「へぇ〜。じゃあおいしいショートケーキをつくらなきゃね」[pcm] 焼きあがったスポンジを冷まして、二つにカットして、[r] クリームを塗り、カットした苺を並べ、クリームをまんべんなく……。[pcm] …………難しいな。[pcm] 均一て[l]平坦て[l]まっすぐって、[lr] 簡単じゃないんだね。[pcm] なんとかかんとかクリームを塗りつけたころ、[r] 隣のかもさんも、なにやら作業を始めた。[pcm] [公太郎]「何を作るんですか?」[pcm] [かも]「……ひみつです」[pcm] [公太郎]「……左様ですか」[pcm] ……気になる。[pcm] 俺のショートケーキも完成間近だ。[pcm] スポンジ、クリームと味に関するところは、[r] かもさんの助けがあったから問題ない。[pcm] 後はいかにこれを飾り付けるかだ。[pcm] …………よし、完成だ。[pcm] 休憩室で支度を済ませる。[r] といってもエプロンを脱いでコートを羽織っただけだが。[pcm] 妹の奴を拗ねさせるなんて、俺もつくづく兄貴失格だ。[r] 何とか励ましてやらねばな……。[pcm] 手伝ってくれた皆に申し訳立たぬというものだ。[pcm] ;SE:足音 [長岡]「裏口から乗れ、車はもう出せる」[pcm] 厨房から顔を覗かせた長岡が言う。[pcm] [公太郎]「悪いな。店は頼んだ」[pcm] [長岡]「いいってことだ。それより、アレをたのむぞ」[pcm] 念押しする長岡の顔が緩みきっていた。[r] それほどのこだわりがあるというのか……。[pcm] アレ……ね。[r] 極力努力するが、そう上手くいかないかもしれんぞ。[pcm] [公太郎]「……はいはい。じゃあ行って来る」[pcm] ;se:走る音 [かも]「……まってください」[pcm] [公太郎]「……ん?」[pcm] あわてて走ってきたかもさんに手渡された小袋。[r] この店の袋に入っている中身は、先ほど作っていたものか。[pcm] [かも]「これを……妹さんに」[pcm] 軽く微笑んだその笑顔に、[lr] 俺は……少し戸惑った。[pcm] こんな風に笑うんだったっけ、この人は?[r] なんとなく照れくさくなって[pcm] [公太郎」[ありがとう。んじゃ、行ってくるね」[pcm] と、軽く言ってさっさと後ろを向いた。[pcm] ;se:ドアを開く音 吐いた息は白く、吸った空気は鼻につんとくる。[r] ヘッドランプをチカチカ点灯させて、合図を送る車を見つけた。[pcm] 長岡いわく「今日の運転手は男のロマンみたいな男だ」らしい、[r] 勝手なイメージを膨らませながら、俺は車に滑り込むように乗り込んだ。[pcm] ⇒サブイベント『厳しい』をこなしている場合 後部座席に座ると、厳めしい面をしたおじさんがミラーに映っていた。[pcm] [公太郎]「…………あれ!? あの時の?」[pcm] [おじさん]「…………![l] 兄ちゃんか……」[pcm] まさかあの時のおじさんにもう一度会うことになろうとは。[pcm] [公太郎]「……ってことは、おじさんは長岡の知り合い?」[pcm] [おじさん]「まあそんなようなもんだ。[r] しっかし、まさか兄ちゃんとは偶然もあるもんだな。[l]流石の俺も驚いたぜ」[pcm] [おじさん]「……そんなことはいいや。[r] あん時のお礼も兼ねてだ、最速で送ってやっからよっくつかまってな」[pcm] ギャギャギャという謎の異音と、左手の動き。[r] 路地裏をなめる様に走り出した車は、一気に表通りへ出る。[pcm] [おじさん]「おれの趣味で悪いけど、曲かけていいか?」[pcm] [公太郎]「もちろんです」[pcm] 鳴かせるギターと、美しいヴォーカル。[r] かじっただけで虜になってしまった。[pcm] 音に酔うという表現が正しいのかはわからない、[r] だけど、おれはまさしくそういう雰囲気の中にいた。[pcm] [公太郎]「……好きです。この曲」[pcm] [おじさん]「お![l] そうかそうか、わかってるなあ兄ちゃんは」[pcm] [公太郎]「ところで、おれの名前ちゃんと覚えてます?」[pcm] [おじさん]「……ええっと……公太郎だっけ?」[pcm] [公太郎]「なんだ。覚えてるじゃないですか。[r] なら、名前で呼んでください。[l]おじさんとは長い付き合いになる気がしますし」[pcm] [おじさん]「すまな、ハム[l]じゃあおれのことは……、[r] そうだなあ…………マネージャーって呼んでくれ」[pcm] そっちもしっかり覚えているのね……。[pcm] [公太郎]「マネージャー?[l] なんでですか?」[pcm] [おじさん]「お抱え運転手も兼ねてる、いわば何でも屋だからさ。[r] つくまではのんびり寝てな。道は譲二に教えられてるしな」[pcm] …………なんであいつが俺の実家までの道のりを知っているのだろうか。[pcm] ⇒サブイベなし いかついおじさんが運転席に座っていた。[r] 俺は迷うことなく後部座席を確保した。[pcm] [公太郎]「すいません。今日はよろしくお願いします」[pcm] [おじさん]「事情は全部譲二の奴から聞いてる。[r] 今日はおれにいっちょ任せてくれな、ハム」[pcm] 任せろと、腕に力こぶをつくって見せてくれた、[r] …………面つきだけじゃないみたいだな。[pcm] しかし気になるのは『ハム』この部分だ。[r] まさか長岡のやろう……くそっ。[pcm] [公太郎]「おれ……公太郎っていう名前なんですが」 [おじさん]「? 知ってるぞ」[pcm] [公太郎]「じゃあなんでハムって?」[pcm] [おじさん]「あだ名があったほうがいいだろ?[r] おれのことは……マネージャーとでも呼んでくれ」[pcm] そんな適当なネーミングで良いなら、[r] 是非に俺のあだ名もプロデューサーとかにしてください。[pcm] [マネージャー]「まあよ、着くまでは寝てていいぞ。[r] マネージャー様が安心安全に届けてやるからさ」[pcm] [公太郎]「ありがとうございます」[pcm] ⇒統合 と、言ったものの。[r] 結局音を聴きながら風景を眺めている。[pcm] 手をつなぐカップル、どでかいクリスマスツリー、[r] イルミネーションで飾られた街。[pcm] じっくり見る余裕なんか持てなかった。[r] こんな風景をただ眺めるのでさえ、俺には人の助けが必要なのね。[pcm] 俺も……この中に混じる日が来るんだろうか。[r] 色恋沙汰なんて、中学時代から縁がない。[pcm] 当然だ。[r] 距離を置いてきたから、自分の気持ちに、人に。[pcm] 俺の高校生時代が無駄じゃなかったこと、[r] いつかきちんと証明したいな。[pcm] 夜はじっくりやってくる。[r] 恋人たちの夜は長いことだろう。[pcm] 俺の夜も……長い。[pcm] …………[r] ……。[pcm] ;se:ブレーキ音 [マネージャー]「着いたぞ……ほれ、行って来い。[r] 明日までかかったってまってっから」[pcm] [公太郎]「助かります」[pcm] ;se:ドアをバッタン …………ふっつうにいくんじゃあつまらないな。[pcm] …………そうだ。[pcm] この塀に足をかけて……っと、俺の部屋の窓が開いてる[r] ラッキーだ。[pcm] 無事、我が家へと不法侵入を果たした![pcm] 久しぶりに見る我が部屋の佇まいはあの時のままだ。[r] おじさんの厚意で残しておいてもらったいろんなもの。[pcm] ……感傷に浸っている場合ではない。[r] 早急に事を済ませよう。[pcm] 妹の部屋に明かりがついていたことは確認した。[r] ならば、突撃しかない![pcm] …………まてよ。[r] 確かこの奥に……。[pcm] ;se:ゴソゴソ音 完璧だ。俺は今、今日という日にしか働かないのに、[r] なぜかいろんな人にありがたがられる人物になっていた。[pcm] そう、カーネル・サン……おっと、サンタクロースだ。[pcm] そそくさ[pcm] ;se:ドアをどっかん開ける音 [公太郎]「ボンジュール! よい子にしてたかな?[r] サンタさんがきたよ!」[pcm] 突然入ってきた俺に驚き、椅子から立ち上がった妹は、[r] こないだあったときよりも、もっと大人びた表情へと変化していた。[pcm] [妹]「うわっ! ……変態!」[pcm] …………………………。[pcm] [妹]「…………ごめんね、お兄ちゃん」[pcm] ……うん。[pcm] [公太郎]「時に妹よ、こんなもんを作ってきた。[r] ぜひ食べてくれたまえ!」[pcm] と、ケーキを渡す。[pcm] ボソっと何かを言った妹は、丁寧に包装を剥がし、[r] ケーキを取り出した。[pcm] [妹]「あっ……ケーキだ」[pcm] [公太郎]「そいつは俺特製の、スペシャルショートケーキでかうま君だ[r] もう一つある」[pcm] [公太郎]「このお菓子は俺の同りょ……友達が作ってくれた、[r] 俺には和菓子スキルはないからな」[pcm] [妹]「あ……ありがと」[pcm] 素直でよろしい。[pcm] [妹]「でもなんで、今日はこれないって」[pcm] 二人で妹のベッドへと腰掛ける。[r] 背まで伸びたのか、目線が少し近くなっている。[pcm] [公太郎]「いろんな人が、サンタになって手伝ってくれたんだ。[r] だから、今日はこれた」[pcm] トナカイもちゃんといるんだぜ。[r] 顔に似合わずやさしい音楽が好きなたくましいトナカイも。[pcm] [妹]「サンタ?」[pcm] [公太郎]「そうだ。……家に今までサンタ来なかったろ?[r] だからまとめてきたんだよ」[pcm] [妹]「まとめて?」[pcm] [公太郎]「俗に言う一括払いってやつだな」[pcm] [妹]「……もう少しロマンチックな言い方もあるでしょ?」[pcm] [公太郎]「……すまん」[pcm] 机の上にノートや文房具が散乱している。[r] 几帳面な妹にしては珍しい。[pcm] ……ノートか。[r] 勉強してたんだな、遅くまで。[pcm] [公太郎]「…………不安か?」[pcm] 頭にぽんと手を置いて、言った。[r] 兄弟だものこれぐらいの言葉で伝わるのさ。[pcm] [妹]「…………サンタにだから言うけど、とっても不安。[r] がけっぷちみたいなものだと思うし、受験って」[pcm] [公太郎]「……そうだな。[r] ……俺な、受験の時に思いついた集中法があるんだ」[pcm] [妹]「なに?」[pcm] [公太郎]「不安になった時とかに、頭の中で曲を流す。[r] 一番今好きな歌を頭の中でぐるぐる流す」[pcm] [公太郎]「おれはそいつで落ち着いてから勉強に身を入れたな、[r] そしたら他の余計なことも考えないですんだ」[pcm] [妹]「本番もやってみた?」[pcm] [公太郎]「ん……本番はやってないんだなこれが」[pcm] [妹]「なんで?」[pcm] [公太郎]「ん〜……内緒だ。[r] 実際その時になれば、お前も同じことするはずだよ」[pcm] 本番は、お守りを握って、祈って、家族の顔を思い浮かべて、[r] そういうことを無意識にしてしまうもんなんだよ。[pcm] [妹]「ん〜……わかったようなわかんないような……。[r] でも、その時ってもうすぐなんだよね」[pcm] [公太郎]「そうだな。[l]でも、兄ちゃんの時は一人だったけど、[r] お前の時は、たくさん応援団がいるからな。緊張なんてふっとぶぞ」[pcm] [妹]「……大学の人?」[pcm] [公太郎]「それもいるけど、兄ちゃんのバイト先の人もきっと応援してくれる。[r] 皆お前に会うのを楽しみにしていると思うぞ」[pcm] [妹]「ん……がんばる」[pcm] [公太郎]「おう。もしあれだったらちょっと早めにこっち来い。[r] 兄ちゃんもまってっからさ」[pcm] [妹]「……ありがと」[pcm] [公太郎]「……いえいえ」[pcm] 久しぶりに語り合った。[r] 近所のおばちゃんの布団たたきが超絶ビートなこと。[pcm] 同級生に告白されたこと、この一年にあった楽しかったこと、[r] びっくりしたこと、悲しかったこと、おいしかったもの、これから食べたいもの[pcm] 見てみたいもの、感じたいもの、聴きたい音楽、聴いてる音楽、[r] 出会った人たち、別れた人たち、いろんなことを話した。[pcm] 俺はもっぱら聞き役。[r] だって、じきに彼女はそれらを体験できるから。[pcm] 俺の出会ったこの一年間の時間が詰まったものたちに。[pcm] …………[r] ……[pcm] 実家を出て、トナカイのところへと戻る。[r] 真っ暗闇のなかのヘッドランプは、まるで真っ赤なお鼻みたいにわかりやすい。[pcm] 寝ていると思い、音を極力立てずに乗り込んだが、[r] 起こしてしまったようだ。[pcm] [マネージャー]「……楽しんだか?」[pcm] [公太郎]「はい、存分に。……起こしちゃいましたか?」[pcm] [マネージャー]「……ふふっ。俺が特別敏感なだけだから気にすんな。[r] 待つのには慣れてる」[pcm] [公太郎]「はい?」[pcm] [マネージャー]「まあ……いろいろあるってこった。[r] さって、ぼちぼち帰るぞ。日の出前に帰れるはずだ」[pcm] [公太郎]「はい」[pcm] …………[r] ……[pcm] ――――午前六時半 店の前 [マネージャー]「ハムの兄ちゃん。着いたぞ」[pcm] …………[r] んっ……寝ちゃってたか。[pcm] [公太郎]「ううっ……すいません。寝ちゃいました」[pcm] [マネージャー]「いいってことよ。[r] お疲れさん、ちゃんと兄貴らしくできたんだろうし、俺はそれで満足だ」[pcm] [公太郎]「ありがとうございます。本当にお世話になりました」[pcm] [マネージャー]「いいってことよ。[r] それより、今度家に遊びに来てな」[pcm] [公太郎]「家……ですか?」[pcm] [マネージャー]「おう。譲二の奴がしってっからさ。[r] ハムの兄ちゃんならいつでも歓迎するぜ」[pcm] [公太郎]「はい。近いうちに、必ず」[pcm] 車を出る俺に、窓を開いておじさんが言う。[pcm] [マネージャー]「おう。まってっからな」[pcm] 握手した。[r] でっかくて、あったかくて、不思議にしなやかな指先だった。[pcm] [公太郎]「ありがとうございました!」[pcm] 去っていく車に深くお辞儀してから、[r] 俺は夜明け前の店を見上げていた。[pcm] ……クリスマスイヴは終わった。[r] サンタも疲れ切っていた。[pcm] 俺は、一まず家へ戻ることにした……。[pcm] ――――主人公の家 午後 午前一杯を睡眠に費やした俺は、[r] なぜだかしつこく鳴るインターフォンに辟易していた。[pcm] 居留守、それが通じない相手となると一人しかいない、[r] 奴だ![pcm] ;se:ドアを開く音 [公太郎]「長岡! うっせえ……ぞ?」[pcm] 長岡やない、かもさんや![pcm] [かも]「め…………め、めりークリスマスです」[pcm] [公太郎]「…………う……うん」[pcm] おかしい。なぜだかアガってしまったときみたいに声がうわずっている。[r] 顔も熱いし、目もあわせられない。[pcm] …………ドアを開けたまま、膠着状態に入ってしまった。[pcm] [長岡]「おい! ……俺にはなんかねーのか?」[pcm] [公太郎]「!!! 長岡……いたのか……」[pcm] 驚いた……そして、よかった。[r] 長岡がいなければどうなっていたか……。[pcm] [公太郎]「こ、こんなとこで立ち話もなんだし……どうぞ、あがって」[pcm] 言う前に、長岡は靴を脱ぎ始めていた。[r] こいつに倫理やモラルなんて言葉は通用しないんだな。[pcm] しかし……なぜ、かもさんまでいるんだ?[r] しかもおれはどうしちまったんだ。[pcm] クエスチョンばかりが頭に浮かび、どうすればいいのやら一向に思い浮かばん。[r] 俺はお茶をいれると言って、台所で時間を稼ぐことにした。 ……お礼言わなきゃな、昨日のこと、いつものこと。[r] なんできてくれたんだろう? 戸惑っているけど、でも……少しうれしい。[pcm] 長岡のくだらない話を、さも珍しい話でも聞いているかのように、[r] 真剣に聞いているかもさん。[pcm] 時折相槌を打つ彼女の横顔に、[r] 俺はのぼせたようになってしまった。[pcm] これはなんだろうか?[r] なんでこんなに緊張するんだ。[pcm] 彼女の前に、お茶を出し、隣に座って、談笑する。[r] それだけの行為が、今はとてつもない壁に阻まれているように難しい。[pcm] ベルリンの壁かはたまたそり立つ壁か、[r] ……アレほど出場者の奥さんに同情する番組はなかろうて。[pcm] 自然に自然に……[pcm] [公太郎]「お茶が入ったよ」[pcm] ちゃぶ台サイズのミニテーブルにカップを置いていく。[pcm] [かも]「……ありがとうございます」[pcm] [公太郎]「……うん。…………俺の方こそ……[l]その、昨日は……助かったよ」[pcm] [かも]「……いえ」[pcm] [長岡]「俺には?」[pcm] 口を挟んできた長岡がうっとうしく思えた。[r] いや、非常に失礼な話だと俺もわかってはいるのだけれど。[pcm] [公太郎]「アリガトーナガオカクン」[pcm] これらの葛藤の結果、機械的な返事でお茶を濁したのだった。[pcm]