[公太郎]「…………ええい! うっとうしい!」[pcm] [長岡]「…………そう言うな。[l]この人のクセなんだから」[pcm] [公太郎]「…………お前なあ。良い年したおっさんに抱きつかれる[r] こっちのみにもなれ! ひげがじょりじょりしてるんだぞ!」[pcm] [長岡]「…………ならば目覚めろ! おっさん好きに!」[pcm] [公太郎]「フェチだよそれは!」[pcm] …………俺たちは今、どこにいるんだっけか……。[r] そうそう、居酒屋だ。[pcm] 俺、長岡、マネージャーの三人で飲みに来ているわけだ。[r] どういうわけか、このおじさんのことを長岡は「おやっさん」と呼ぶ。[pcm] こいつの……執事だったりしないだろうな? こいつの家は謎に包まれているからな。[r] ありうるのが怖いぜ。[pcm] はっきり言って、こんなに酒癖の悪いおっさんに、[r] 執事が勤まるはずがないのだがな。[pcm] なぜかというと、執事ってのはいつもそばに控えていて、[r] こういうときの対応もピカイチなのが理想だからだ。[pcm] 俺調べによると『熱い男』よりも『冷静な男』が執事な方が、[r] ピンチに陥った時に助かりやすい。[pcm] 呼称は『若』か『殿』……何? それは違うって?[r] こういうのが俺の理想なのだよ。[pcm] 執事との関係は……そうだな。[r] 『生まれた頃からの付き合い』これがベストだ。[pcm] …………[pcm] [店猪ノ介]「若……まもなく敵が城内にまで侵入してくる頃合です」[pcm] [ハムノ進]「……そうか。我が生涯……主と過ごせたこれまで……[r] 実に楽しかったぞ」[pcm] [店猪ノ介]「……若……お逃げください」[pcm] [ハムノ進]「ならん! 家臣が戦っておるに主君が逃げ出すなどとは、[r] たとえ生き残っても恥にしかなるまい」[pcm] [ハムノ進]「…………行くぞ、店著ノ介!」[pcm] [店著ノ介]「はっ!」[pcm] こんな感じで来年の大河ドラマはいただきかな。[r] タイトルは『若殿〜華麗なるその生涯〜』で、全23話。[pcm] オリジナルサウンドトラックも発売して、[r] 音楽はクサイシショー、SEは汚室徹夜略してオムテツに頼んで。[pcm] キャラクターグッズも作って、[r] 若Tシャツとか……ちょんまげなりきりセットとか……。[pcm] [長岡]「おい、何呆けてんだ」[pcm] [公太郎]「呆けてなどいないさ。[r] 新たなビジネスチャンスにの出現に、胸を躍らせていただけさ」[pcm] なにより、目の前の状況を受け入れたくないしな。[pcm] なぜかマネージャーが俺に甘えてきている。[r] ペースが早いと思ったら、あっという間に出来上がり、とたん。[pcm] とたんに俺のほうに擦り寄ってきたのだ。[r] 彼のヴォイスを再生しないのは、彼の名誉のためだ。[pcm] というより、俺の脳がその声を反復するのを拒否している。[pcm] あれだ、バカップルの女の子の方がいいそうな甘ったるい言葉。[r] それを濃縮したような戯言を先ほどから俺の耳元で囁いている。[pcm] 非常に…………気持ち悪い。[pcm] こうなったのは……なんでだっけな?[pcm] …………[r] ……[pcm] [長岡]「今日おやっさんと飲みに行くことになってるから」[pcm] [公太郎]「……は?」[pcm] [長岡]「お前を妹さんのとこまで送ってくれた人だよ」[pcm] [公太郎]「…………おう。しかし、なんで俺の予定を聞かない?」[pcm] [長岡]「どうせ暇だろ?」[pcm] [公太郎]「……ああ」[pcm] …………[pcm] 安易すぎやしないだろうか。[pcm] いつもいつも俺は、この男に振り回されてる気がするのだが。[pcm] なんとかかんとかおっちゃんをなだめすかし、寝かしつけることに成功した。[r] 俺は飲んでる時限定で『ライダーヘルパー』になるからな。[pcm] …………早い話が、こういうときのごたごたを片付けるのに、[r] 無駄に才能を発揮してしまっただけだ。[pcm] 長岡が家を知っているらしい。[r] 俺たちは酔いつぶれたこの男の人を、家まで運ぶことにしたのだ。[pcm] ……公正なるじゃんけんの結果[r] 俺がおんぶすることになった。[pcm] 非常に酒臭いのだが……。[pcm] 店を出ると、酔って火照った体を冷たい風が締め付けてきた。[r] どうせならば、女の子を送っていきたかったものだ。[pcm] ……俺は決して不埒なことは考えてないぞ。[pcm] というか、どこの世界に、『喫茶店に勤めている酔った美女』を、[r] 自分の家に連れ込める奴がいるというのだ。[pcm] そんな奴がいたら、そいつはきっとすけこましに違いない。[r] あの手この手で女の子に付きまとうんだ。[pcm] けしからん、けしからん。[pcm] 繁華街を抜け、住宅街のほうへ向かう。[r] 長岡のナビは、真っ暗で周りが見えないわりに正確だった。[pcm] ……でかっ![pcm] ……でっかっ![pcm] はい、大事なことだから二度言いました。[pcm] 貫禄ある一軒家だ。[r] 我が居城の10倍以上は軽くありそうだ。[pcm] これが……俺の背中によだれをたらしながら、[r] 幸福そうに寝入る親父の持ち物だというのかっ。[pcm] ……世界って、不公平ですね。[pcm] 長岡は躊躇なくインターフォンを押し、[r] カメラのほうに手を振って見せた。[pcm] [公太郎]「おい……来たことあるのか?」[pcm] [長岡]「まあほんの数十回ほどな」[pcm] ……多いな。[pcm] [???]「あれ……譲二君かい? 健さんは……ああ、またか。[r] しょうがないねぇ、お酒と娘には滅法弱いんだから」[pcm] [長岡]「ははは。でも何時になくペースがはやかったようですよ。[r] この分じゃ、将来は大変そうですね」[pcm] クシュン……洟が……酔いがさめてきたようだな。[pcm] [???]「まったくだよ。[r] ……ごめんね、寒いよね。まってて、すぐに行くよ」[pcm] ;se:錠の開く音 [???]「寒いでしょう? さあ入って入って」[pcm] おっちゃんの娘さんだろうか、[r] 年は……俺達と同じくらいか?[pcm] 髪は短めで、活動的な印象を受ける。[pcm] 一枚戸を隔てただけで、随分体に感じる温度が違うものだ。[r] かじかんだ手に熱が戻ってくるのがわかる。[pcm] 長岡は俺の家での行為と寸分違わず、[r] かって知ったる自分の家といった様子であがりこんだ。[pcm] [???]「さ、遠慮せずにあがったあがった」[pcm] [公太郎]「おじゃまします」[pcm] 通されたお部屋は応接間だろうか、[r] 水墨画が床の間に飾ってある。[pcm] おじさん……つまり、健さんを床に寝かせると、[r] 俺達も床に座った。[pcm] [公太郎]「やけに慣れた様子じゃないか」[pcm] [長岡]「ガキの頃から来てるからな」[pcm] [公太郎]「ちっさいころから……?」[pcm] ;注:ここの部分で、かも二週目の場合に見れる長岡の過去話みたいなのを挿入する予定です 選択肢が出現して、『詳しく聞く』・『聞かない』って感じで。 一週目はどちらを選択しても聞くことはできない……けど、二週目にくると……てな具合で 詳しく聞くのはよしたほうがいいな、[r] 俺とこいつに前世の因縁があるわけでもないし。[pcm] [公太郎]「そうか」[pcm] [長岡]「詮索しないのか?」[pcm] また随分と聞いて欲しそうだな。[r] 彼女が出来たばかりの男に馴れ初めを聞いたときのようだ。[pcm] [公太郎]「またの機会にとっておくよ」[pcm] 聞いてはいけない気がするのはなぜだろうか。[pcm] ;se:足音 [???]「お茶が入ったよ」[pcm] [公太郎]「ありがとうございます」[pcm] [長岡]「ありがとうございます」[pcm] ……?[r] 長岡が敬語か……珍しいな。[pcm] [公太郎]「……失礼ですが、健さんの娘さんですか?」[pcm] [???]「……僕かい? いやあ……よく間違えられるけどね、[r] 違うんだ」[pcm] どう見積もったって娘さんくらいの年齢だろう。他に何があるんだ。[pcm] [公太郎]「違う?」[pcm] [長岡]「この人は……おやっさんの奥さんだ」[pcm] [公太郎]「奥さん? 嫁さん? 妻? 家内? 婚約者?」[pcm] [???]「うん。嫁さんだね。[r] 僕の名前は……雪歩っていうんだ、よろしくね」[pcm] ……正直、若すぎます。[r] あの親父さんはなんて綺麗な嫁さんを見つけたんだ……うらやましい。[pcm] [公太郎]「よろしくお願いします」[pcm] [雪歩]「でもひどいなあ譲二君。[r] 来るんなら紹介しておいてくれればいいのに」[pcm] [長岡]「……すいません。[r] うっかり忘れてました。おやっさんが潰れちゃったんで」[pcm] [雪歩]「……健さんったらお酒に弱いのに飲もうとするからね[r] こればっかりは僕にもどうにも出来ないなあ」[pcm] [公太郎]「……ははは」[pcm] [雪歩]「そうだ、君は確かあそこの喫茶店で働いているんだよね?」[pcm] [公太郎]「はい」[pcm] [雪歩]「じゃあ待ってて、紹介したい人がいるんだ」[pcm] ;se:遠ざかる足音 [公太郎]「紹介したい人って、誰だ?」[pcm] [長岡]「……お楽しみにとっとけ」[pcm] 笑みを浮かべる長岡だが、あのいつもの憎たらしい笑みをぶら下げてはいなかった。[r] 実に気持ちの良い微笑だったのだ。[pcm] ;se:二つの足音 [雪歩]「じゃーん。家の秘蔵っ子で〜す」[pcm] 見覚えのある長い髪、見覚えのある特徴的な瞳。[r] そしてなぜかエプロンをお召しになっていらっしゃる。[pcm] [かも]「……公太郎……さん?」[pcm] ……びっくりだ。[pcm] [公太郎]「え……美弥さん!?」[pcm] [雪歩]「なんだ。親しいんだね、[r] ……よかったよ」[pcm] [公太郎]「えっと……あの……雪歩さん。[r] 美弥さんとはどういったご関係で?」[pcm] [雪歩]「さっき言ったとおりだよ。[r] 僕が美弥ちゃんのお母さんだよ」[pcm] [公太郎]「え!?」[pcm] [長岡]「お前の気持ちはわかる。[r] 雪歩さんは外見も声も立ち居振る舞いも若すぎるんだよな」[pcm] [かも]「…………似てますか?」[pcm] 活発そうな雪歩さんと、物静かな美弥さん。[r] 似ているのは、つかみどころのないところくらいか。[pcm] [公太郎]「ん〜……正直……そんなには似てないかな」[pcm] [雪歩]「美弥ちゃんはお父さん似だからね」[pcm] ん?[pcm] ……。[pcm] ……お父さん!?[r] あ……あの人が……美弥さんのお父さんか。[pcm] 俺はなんて相手と飲んでたんだ。[r] 将来の…………お父さんかもしれないってのに。[pcm] いや、今までの俺の態度を検めてみると、[r] 後悔先に立たずという言葉の重みがのしかかってくる様だ。[pcm] [雪歩]「……そうだ。せっかくだし、お鍋でもどうだい?[r] 寒さで酔いも飛んじゃっただろう? 支度はすぐできるし」[pcm] 鍋……。[r] 元々今日は鍋物だったらしく、。[pcm] [公太郎]「いいんですか?」[pcm] [雪歩]「うん。大勢いたほうがお鍋はおいしいからね。[r] それに、具もたっくさんあるから平気だよ」[pcm] [長岡]「いいですね!」[pcm] 長岡はこの提案に乗った。[r] 俺は……。[pcm] [公太郎]「じゃあお言葉に甘えて」[pcm] そう言ったちょうどその時に、[r] ふっと彼女が微笑んでくれたから、俺は酔いが戻ってきたみたいになった。[pcm] というわけで、居間に移動。[pcm] 居間も和風で、中央にちゃぶ台、その上には鍋がセットされている。[pcm] [雪歩]「今日の料理人は……なんと美弥ちゃんです。[r] ……って言っても普段から食事作ってくれているのだけれども」[pcm] 席順は俺から見て左隣に雪歩さん、真向かいに長岡、[r] 右隣に美弥さんだ。[pcm] そして、長岡は……鍋奉行だった。[pcm] 食事を終え、温まった体を縁側で冷やす。[r] 冬の空は綺麗だった。[l]空気が冷たいからとかは関係なしに。[pcm] 庭の百日紅は夏を待っている。[r] もう一度、いや、何度でもこの百日紅を見たいものだ。[pcm] [かも]「公太郎さん……風ひいちゃいますよ?」[pcm] [公太郎]「うん……お鍋おいしかったよ」[pcm] [かも]「……お鍋が美味しくても、体は冷えちゃうんですよ?」[pcm] と言って、出してくれたのは熱燗だった。[pcm] [かも]「母からです……私はこっちの……緑茶で」[pcm] 空気が冷たいからか月が夜空を乗っ取ったみたいに、[r] その姿を主張している。[pcm] [公太郎]「ありがとう」[pcm] 程よく温かいそれを、俺はこくりと喉を鳴らし飲み込む。[pcm] [かも]「一月……たちました」[pcm] [公太郎]「そうだね……一月経った」[pcm] [かも]「思えば、今年は……色んなことがありました」[pcm] [かも]「アルバイトを始めて……大学に入って……公太郎さんにも会って、[r] びっくりするほど……あっという間でした」[pcm] [公太郎]「俺もあっという間だった。[r] ……特に、最後の一月は」[pcm] [かも]「……楽しかったですか?」[pcm] [公太郎]「楽しかったよ。色んな出来事が一時に起きて、[r] たっくさんの人と出会って、この一月お祭りみたいだった」[pcm] [かも]「……お祭りですか?」[pcm] [公太郎]「目の前にさ、たっくさん選択肢があるんだ。[r] たこ焼き、焼きそば、わた菓子、射的屋」[pcm] [公太郎]「お祭りは時間がないからどれもいっぺんには選べなくてさ、[r] 一つしか選べないんだ」[pcm] [公太郎]「もし、この一ヶ月を何度も繰り返したなら、[r] 俺と君がこうやって一緒にいることだってなかったかもしれない」[pcm] [公太郎]「だけど、俺は今、花火をたこ焼きと水風船持って見ている感じなんだ」[pcm] [かも]「……それは?」[pcm] [公太郎]「お祭りを十二分に楽しんだ気分なんだ」[pcm] [公太郎]「でも……さ、[r] この後……新年迎えてもさ……その後も……」[pcm] [公太郎]「その後も……一緒に……色々しない?」[pcm] [公太郎]「もっともっといっぱい楽しいこととか、[r] おいしいものとかあるはずだから……」[pcm] [公太郎]「この特別な一月が終わっちゃっても、[r] ずっとずっと楽しいことは続いてくはずだから」[pcm] [公太郎]「その全部を……一緒に楽しもうね」[pcm] [かも]「…………ふふ」[pcm] なんというか気障で長ったらしい台詞だった。[r] まるで漫画の主人公が言うことのようだ。[pcm] 恥ずかしい……。[r] でも……素直な気持ちだから、後悔はしないぜ。[pcm] [かも]「……なんだか……」[pcm] [公太郎]「なんだか?」[pcm] [かも]「……いえ……内緒にしておきます」[pcm] [公太郎]「えっ……なんだろう、すげえ気になるよ」[pcm] [かも]「……けど、私も同じです」[pcm] [かも]「……早速……新年は初詣に行きましょうね」[pcm] [公太郎]「……うん」[pcm] ――二階 [長岡]「……今夜は俺の胸で泣いてもいいっすよ」[pcm] [おじさん]「……馬鹿……[lr] ……嫁さんの胸で泣くわ」[pcm] [長岡]「雪歩さん『娘ながらに嫉妬しちゃうなあ』って言ってましたよ」[pcm] [おじさん]「やっぱり……おれにはあいつしかいないなあ」[pcm] [長岡](……ったく、人の気も知らないで……さ[r] 俺だけかよな……のけ者は)[pcm] [長岡](俺にもそろそろ……LOVEいシーンがきてもいいもんだろう?) [長岡]「まあ……当分はあいつらを見守るだけだろうけどな」[pcm]